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2025.11.08
コラム

認知症になる前に準備を。任意後見制度でスムーズに不動産を売る仕組み

認知症になる前に準備を。任意後見制度でスムーズに不動産を売る仕組み

高齢化が進むなか、「親が認知症になったら自宅や不動産をどう売却すればいいのか?」という悩みを持つ方は増えています。

不動産売却には本人の意思確認が不可欠ですが、判断能力が低下してしまうと売買契約を結ぶことが難しくなります。

そこで活用されるのが「後見制度」です。

今回は、任意後見人制度と不動産売却の関係、また、利用時に知っておくべき基礎知識を解説します。

任意後見制度とは?

任意後見制度とは、将来に備えて「自分の判断能力が低下したときに、誰に財産管理や契約を任せるか」をあらかじめ契約(任意後見契約)で決めておける制度です。

この制度のしくみは、次のような流れで進みます。

・本人が元気なうちに「任意後見契約」を締結

・判断能力が低下した際に、家庭裁判所が任意後見監督人を選任

・任意後見人が任意後見監督人の監督の下に財産管理や契約の代理を行う

 

つまり、「将来のための安心準備制度」であり、特に不動産の管理や売却が必要になる場面で力を発揮します。

任意後見制度を活用した不動産売却のメリットとは?

本人が判断できなくても売却可能

認知症などで売買契約の意思表示が難しい場合でも、任意後見人が代理人として売却手続きを行えます。

これにより、資産の有効活用や介護費用の確保がスムーズに行えます。

 

家庭裁判所の監督のもとで安心

任意後見制度を利用する際は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人の監督のもと、任意後見人は本人の代理行為を行います。

したがって、不動産売却においても不正やトラブルが起きにくく、公正な取引が保証されます。

 

本人の生活を守るための売却が可能

不動産を売却して得た資金は、本人の生活費や医療・介護費用に充てることができます。

後見制度を通じて売却を行うことで、資産が本人のために適切に使われる仕組みが整います。

 

任意後見制度を利用する際の注意点

契約は元気なうちに結ぶ必要がある

任意後見契約は、本人に判断能力があるうちでなければ締結できません。

認知症が進んでからでは利用できないため、早めの準備が大切です。

 

売却には裁判所の関与がある場合も

任意後見人が不動産を売却する際、契約内容や状況によっては任意後見監督人の同意が必要になる場合があります。

スムーズに進めるには専門家のサポートが欠かせません。

 

任意後見契約と法定後見制度の違いを理解する

すでに判断能力が低下してしまった場合は「法定後見制度」を利用することになります。

任意後見は「将来に備える制度」、法定後見は「すでに判断能力が不十分な場合に利用する制度」と覚えておきましょう。

不動産売却を見据えた任意後見契約の流れ

1. 公証役場で公正証書による任意後見契約を締結

2.判断能力が低下 → 家庭裁判所へ申立て

3.任意後見監督人が選任され、任意後見人の活動が開始

4.任意後見人が不動産売却を代理で実施(任意後見監督人の同意が必要なケースもあり)

5.売却代金は本人の生活費・医療費などに充当

まとめ

 

任意後見制度は、将来の判断能力低下に備え、信頼できる人に財産管理を託せる大切な仕組みです。

特に不動産売却の場面では、本人の生活を守りながら適切に資産を処分できる点が大きなメリットです。

ただし、契約のタイミングや裁判所の手続き、税務上の取り扱いなど、専門的な知識が必要になる場面も多くあります。

将来、親の不動産をどうするかといった問題は決して他人事ではありません。

いざとなって慌てることのないよう、正しい知識を知ったうえで、事前にしっかり準備をしておくことをおすすめします。

相続した不動産などの売却をしたいと思われたら、ぜひ私たち不動産のプロにご相談ください。